「ことばの交差点」8
- 矢野修三
- 2023年9月2日
- 読了時間: 2分
日加トゥデイ 8月掲載

☆ 「ご自愛ください」は、めっちゃムズい !
ようやくコロナも明け、青空も広がり、これぞバンクーバーの夏。例年より少し暑い感じもするが、日本と比べると雲泥の差。素敵な盛夏の候、暑中メールを友や生徒などと取り交わしている。格好よく文末に「ご自愛ください」と書いてくれる人も多い。でも時折、「お体ご自愛ください」と記してあるメールも見かける。うーん、気持ちはうれしいが、
やはり気になってしまう。
この「ご自愛ください」はこの表現だけで「お体を大切にしてください」という意味。「自」は「体」を、「愛」は「大切に」を表わしている。よって、「お体」を付けてしまうと、「女の婦人」や「馬から落馬」のような、いわゆる重複表現になってしまう。「お体」など付けず、単に「ご自愛ください」が適切な使い方である。
この重複表現だが、例えば「後で後悔するぞ~」など会話として使うのであれば、強調やユーモアなども感じられ別に問題なし。しかしメールなどの書き言葉では、文書として残るので要注意。特にこの「お体ご自愛ください」はいろいろ話題になっており、違和感を感じる、ではなく、違和感を覚える人もかなりいるので・・・気をつけなければならない。
またこの表現、使う相手にも結構ややこしい。かなり親しい人に使うと、個人差もあろうが、確かによそよそしさを感じる人も多いのでは。この「ご自愛ください」は公式なビジネス文書などによく使われるので、かしこまった雰囲気を持っている。それゆえ、すごく親しい友達などには使いにくいかも・・・。
さらに、病気や怪我など患っていることが分っている人にこの「ご自愛ください」は失礼な印象を与えてしまう恐れもある。確かに。
このように、この「ご自愛ください」の用法はめっちゃムズい。そのあたりを感じてか、最近の若者世代はあまり使わなくなってしまったようである。いとさびし。
確かに、SNSなどに「ご自愛ください」はそぐわない感じも・・・、でも逆に、親しい
卒業生からLINEなどに「まだコロナも完全終息ではないようです。くれぐれもご自愛ください」などと書いてあると、思わず「はい、気をつけますよ」と襟を正したくなる。
いとおかし。
この「ご自愛ください」はなかなか品格漂う、粋な表現である。うまく使いこなして、
ぜひ締めの挨拶に使っていただきたい。
読者の皆さま、残暑厳しい折、くれぐれもご自愛ください。
こんにちは
長きにわたり、とても楽しいテーマでコラムを連載されていた矢野さん、ありがとうございました!
毎回楽しく面白く読ませて頂いておりました。
連載が終わってしまうのは本当に残念てすが、またいつかどこかで拝読できることを楽しみにしていますね。
ありがとうございました!!
こんにちは!
いつ読んでみても、日本語の楽しい話題がありますね。変わらずお元気そうで嬉しいです。ショウジ