外から見る日本語 251
- 矢野修三
- 2023年7月4日
- 読了時間: 2分
バンクバー新報 6月号 掲載

☆ 「思っています」は味わい深し・・・ !
どうやらコロナ騒動も沈静化し、日常生活もコロナ前に戻り
つつあり、ホッとしている。海外旅行なども活気づき、先日のあるミーティングで円安も絡んで、日本行きが大いに話題になった、
そして日本語上級者からこんな質問が、今年日本に行こうと
「思います」と「思っています」はどう違いますか、である。
この「思います」と「思っています」の違いはよく質問される一つ。まずこんな教え方をしている。最初に「私」は「~と思います」を、「友達」は「~と思っています」を使うと、しっかり教える。例文として「私は日本に行こうと思います」であり、
「友達は日本に行こうと思っています」である。日本人にはごく当たり前だが、英語では「I」も「My friend」も同じ「think」なので、「友達は日本に行こうと思います」、
こんな間違いをしてしまう。でも日本語として大事なルールであり、
「私」(第一人称)と「友達」(第三人称)の違いをきちんと教えれば、それほど難しくない。
だが、落とし穴が待っている。上記の質問である。確かに、「私」の場合は「~と思います」も「~と思っています」も両方使える。するとその違いは・・・、生徒はとても気になる。うーん、説明はなかなかやっかいなり。
でも、日本人は何気に、何となく使い分けている。 例えば、後ろに「でも、まだコロナが心配だから、迷っている」などの気持ちを表す文を続ける場合は「今年日本に行こうと
思っていますが・・・」を使う人が多いのでは。現に、「思います」はストレートに自分の考えや意見を述べる場合に使うので、友達などの三人称には使えない。一方、「思っています」はいろいろな感情や経験に基づく自分の見解を表わすときに使っている。
事実、「雨が降る」などの自然現象については「あした雨が降ると思います」が自然であり、「あした雨が降ると思っています」は何か入れ込んでいるようで不自然。でも雨が降るか、降らないか、お金でも賭けた場合には感情を込めて、「私はあした雨が降ると思っています」のほうがいい感じ。確かに。なかなか味わい深い。
このように、私の場合の「~と思っています」は何かいろいろな心の動きや感情などを
表現したいときなどにふさわしい言い方だと思います。でも、話す内容や話し方などに
よってもかなり違ってくると思っています。
ある生徒から、先生、彼と別れようと「思います」と「思っています」と、
どちらがいいですか・・・。 そんなこと勝手にしなさい。
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